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子どもの上腕骨骨折A 子どもの肘周囲の骨折
上腕骨遠位端骨折(じょうわんこつえんいたんこっせつ)その1
上腕骨遠位端骨折の概要と上腕骨顆上骨折(じょうわんこつかじょうこっせつ)
 
成長期における上腕骨遠位端骨折は非常に頻度が高い骨折です。その理由は構造的な脆弱性にあります。上腕骨の遠位端は顆(か)と呼ばれ、骨幹と比較して大きくふくらんだような形をしています。この顆から骨幹へ移行する境目は、側面から見ると前方へ弯曲する頂点となり、外力を受けると屈曲力や剪力が働きやすい形状をしています。また、幼児から小学生ぐらいの間は骨の強度の面からも成人と比較して非常に弱いため、この顆から骨幹へ移行する顆上といわれるこの部位の骨折が、幼児から小学生ぐらいの間に頻度が高くなっている理由です。
 一方、上腕遠位端を形成する顆の部分もこの時期は成長軟骨で構成されており、やはり完成された骨と比べて耐久性に劣るため、骨折や骨端線離開などを生じる頻度が高くなります。

 

 

肘関節の骨格図

5歳児の左肘X線画像
5歳児の左肘正面レントゲン写真

成人の左肘X線画像
成人の左肘正面レントゲン写真

 
 

4歳児右肘側面X線画像
4歳児の右肘側面レントゲン写真
(赤丸内の小さな骨は上腕骨小頭の骨端核)

成人の右肘側面X線画像
成人の右肘側面レントゲン写真

  右肘を内側から見た骨格図
 

1. 上腕骨遠位端骨折の分類
 様々な分類法があるようですが、一般的に骨折の位置により以下のように分けられます。
@上腕骨顆上骨折、 A上腕骨外顆骨折、 B上腕骨内側上顆骨折、 C上腕骨内顆骨折、 D上腕骨外側上顆骨折、 E上腕骨通顆骨折、 F上腕骨小頭骨折、 G上腕骨滑車骨折、 H上腕骨遠位端複合骨折
 @〜Bは比較的頻度の高い骨折で、C〜Hは稀な骨折です。また、幼少期に主に見られる骨折は@〜Eのタイプです。 右と下に合計3つの「骨折位置を示す略図」でそれぞれのタイプの大まかな骨折位置を示しています。尚、この図は左腕前面よりみた場合となります。
 右下のレントゲン画像は、右上腕骨顆上骨折の症例です(他の絵図とは逆側になります)。この症例では、比較的遠位で骨折を生じ、顆の部分で骨折線が観られますが、これも顆上骨折に分類されます。通顆骨折では、そのさらに遠位で上腕骨小頭と外側上顆の間に見える骨端線の位置で起こります。また、実際の顆上骨折では、右図の青線で示す位置やさらにもう少し近位(やや上の方)で起こるタイプもあります。また、文献によっては、この顆上骨折を生じた位置により近位型と遠位型に分けて分類している場合もあります。
 このページでは、比較的頻度の高い上腕骨顆上骨折を解説し、上腕骨遠位端骨折その2のページで上腕骨外顆骨折を、またその3のページで上腕骨内側上顆骨折と上腕骨通顆骨折について解説します。

   

 

幼少期の上腕骨遠位端骨折略図1

9歳女児右上腕骨顆上骨折X線画像

幼少期の上腕骨遠位端骨折略図2 幼少期の上腕骨遠位端骨折略図3  
 

2. 上腕骨顆上骨折(じょうわんこつかじょうこっせつ)
 この骨折は、遊具からの転落や運動時の転倒などで、肘や手を突いたときに起こります。また、外力の作用幾序と骨片転位の方向により、伸展型骨折と屈曲型骨折に分けられます。
 伸展型の骨折では、手を突いた時に肘関節が過伸展し、尺骨と上腕骨の関節面がロックされ、てこの作用で骨折を生じます。
 一方、屈曲型の骨折では、肘を曲げた状態で肘の後方を突いた時に、湾曲した上腕顆上部に強い屈曲力が作用して骨折を生じます。

  右上腕骨顆上骨折伸展型略図1

右上腕骨顆上骨折屈曲型略図1

右上腕骨顆上骨折伸展型発生幾転 右上腕骨顆上骨折屈曲型発生幾転  
 

(1) 症状
 上腕遠位端の内側上顆と外側上顆を結ぶ線よりもやや上の顆上部に限局性の圧痛を触れます。また、同部を中心に強い腫脹や皮下出血が出現します。
 レントゲン写真では、伸展型の骨折線を側面より観た場合、前下方から後上方に走行しており、屈曲型の場合は逆に前上方から後下方へ走行しています。
 転位のある場合、伸展型の骨折では、中枢骨片が前方に突出し、肘頭(肘の後端)が後方へ偏位した変形を生じます。また、末梢骨片の内側転位と内旋転位(内側に軸回旋)を生ずると、前面から見て、肘関節が内反(内側に沿った形状)して見えます。一方、屈曲型の骨折では、中枢骨片が後方へ転位し、肘頭よりも上位で後方へ出っ張った骨を触知します。ただし、屈曲型は転位が僅かな場合がほとんどです。
 尚、伸展型で大きな転位がある場合、腫脹が高度で表皮に水泡形成がみられる症例もあります。また、そのような転位のある場合、神経や血管を圧迫し、神経麻痺(正中神経麻痺など)や血行障害(フォルクマン拘縮)を引き起こすものもあります。

2) 合併症(骨折受傷時に合併する傷病)

 皮膚の損傷
 上腕骨顆上骨折の伸展型で転位が大きい骨折では、中枢側の骨折端が皮膚前面を突き破ることがあります。この状態を開放骨折(複雑骨折)といい、骨の先端が皮膚の外へ露出するほどひどい場合もあります。この場合、創傷部分から雑菌が侵入し、感染症を併発し重症化することもあります。

 血管の圧迫もしくは損傷
 肘のやや上で上腕骨の前面上を上腕動脈という腕の主要な血管が通っています。上腕骨顆上骨折で、転位した骨折片がその血管を圧迫すると前腕以下の組織に血液が循環しなくなり、血行障害を起こします。骨折受傷後に患側上肢が蒼白(チアノーゼ)になり、橈骨動脈の拍動が消失した場合は、この様な血管の障害を生じている可能性が高いので緊急の処置を要します。放置するとフォルクマン阻血性拘縮に至り、重篤な後遺症害を残すことになります。

  右上腕骨顆上骨折伸展型略図2

右上腕骨顆上骨折伸展型略図3

 

※ フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)
 骨折片転位による血管の圧迫や固定による圧迫、あるいは固定後の腫脹による内圧亢進などで血流が阻害された場合に起こる筋肉の阻血性拘縮です。
 初期の症状は、前腕より手指にかけて腫脹、疼痛、皮膚の蒼白、橈骨動脈の拍動の消失、知覚異常や麻痺などが起こります。この急性症状から6〜8時間後に指が鉤(かぎ)状に曲がって拘縮(こうしゅく)します。筋肉が拘縮・壊死に至るため、初期症状の出現から6〜8時間までに救急処置を要するとされ、いったん阻血性拘縮を起こしてしまうと正常な状態には戻らなくなります。

 神経の圧迫
 上腕骨顆上骨折では、周囲の神経を圧迫して神経麻痺を起こすことがあります。骨折部周囲を通る代表的な神経は、橈骨神経(とうこつしんけい)、正中神経(せいちゅうしんけい)、尺骨神経(しゃっこつしんけい)があります。この内、骨折受傷時に合併する神経圧迫損傷は、橈骨神経と正中神経が多く、尺骨神経は極めて少ないといわれています。

※ 神経や血管の圧迫による症状は、固定処置後に起こることもあります。これは、整復・固定処置の際に再転位を防止するため肘を鋭角に曲げることがあるのですが、このときに周囲の腫れなどで神経や血管の圧迫が起こります。従って、固定後に手指が蒼白になり強い痛みを訴えたら、直ちに固定を緩めて肘の姿勢を修正しなければなりません。

(3) 治療
 転位の無い骨折では、包帯副子固定を行います。固定期間は約3週程度となります。
 転位の有る骨折では、整復処置を行います。徒手整復で充分な転位除去が得られない場合あるいは血管や神経の損傷を伴う場合は、入院による持続牽引、もしくは手術による整復を行います。
 転位の有る骨折で、徒手整復で充分な転位除去が得られた場合は、包帯副子固定を3週〜4週程度行います。
 入院による持続牽引療法の場合は、骨折部の癒合がある程度進んで、再転位の心配が無くなった時点で、包帯副子固定に切り換えます。また、手術により金属を使った内固定を施行している場合は、骨癒合が完成されてから、内固定を除去します。
 固定除去後は、肘関節の屈伸運動を自動運動(患側の腕を自力で動かす運動)で行い、関節の可動域を改善します。この運動は決して他動的(他人の力による運動、もしくは自分の反対の手を使って、患側の肘を曲げる運動)に行わないようにすることが大切です。他動的運動により骨化性筋炎を起こしたり、屈曲障害(しっかり曲げられなくなる)を起こすことが多いからです。
 運動療法は、最低限の日常生活動作に対応できる状態まで改善されていれば、後は日を追うごとに自然に回復していきます。しっかり曲げられないとかしっかり伸びないなどの運動障害が残っても、充分な整復が得られて変形がほとんどなければ成長と共に改善されることが多いです。

(4) 予後
 伸展型骨折で、末梢骨片の後方転位除去が不十分な場合は、肘関節の屈曲制限が残ります。また、末梢骨片の回旋転位や側方転位の除去が不十分な場合は、内反肘(肘関節を中心に腕が内側に反る変形)を生じます。
 骨片転位が大きく、周囲の靱帯、筋肉、骨膜などの組織の損傷が甚大な場合や固定除去後の過剰な運動療法により骨化性筋炎を生じた場合は、肘関節の屈伸運動ができなくなります。
 以上のような後遺症を残した場合、整形外科で経過を観察しながら時期を見て手術的な矯正を行います。
 骨片転位があまり無いものや、整復による転位除去が充分で、骨癒合の経過も良好な場合は、後遺症も無く予後良好となります。

 

 

 

※ 後遺症

 内反肘(ないはんちゅう)
 骨折して骨片が転位(骨折による骨のずれ)した際の整復が不十分で捻転転位や側方転位が残った場合に起こりやすい変形。
 一般的に手のひらを前方へ向けて上肢を下垂した場合、肘関節は軽度外反(外側に反った状態)していますが、内反変形により真っ直ぐ、あるいはやや内反 (内側に沿る)した状態になってしまいます。
 成長期の場合、成長と共に上腕が伸びてくると、この内反変形の度合いが悪化していくことがあります。小学校低学年以下で上腕骨顆上骨折や上腕骨外顆骨折を起こし、内反変形を生じた場合は、毎年その変形の度合いを計測し、経過によっては 、整形外科の手術による矯正が必要となります。

 屈曲障害
 上腕骨顆上骨折の伸展型骨折では、末梢側骨折片の後方転位が充分に除去されないと、肘の屈曲に制限が残ります。 また、整復時にはしっかり後方転位が除去されても、骨折部が不安定で固定中に再転位を起こしてしまう場合もあります。
 このような障害を残さないように、整復時の転位除去の確認と固定期間中の骨折部の観察が重要となります。
 尚、すでに骨の癒合が進んでから後方転位の矯正が不十分であったことが判明した場合や、固定期間中に再転位が起きて、骨癒合が進んだ後から顕著な後方転位が判明した場合は、その屈曲障害の程度により手術を行うこともあります。

 骨化性筋炎(こつかせいきんえん)
 骨化性筋炎は、骨に密着する筋肉や靱帯、骨膜などの軟部組織の損傷部位に骨を作る細胞が侵入して骨化が起こる現象です。骨折や脱臼時の筋肉や骨膜、靱帯などの損傷により起こる外傷性のものと、過度の運動療法によ り、筋肉や靱帯などの組織が微細な損傷や炎症を生じた部分に起こるものがあります。
 上腕骨顆上骨折などに起こるものは、転位した骨折片で上腕筋(じょうわんきん)という筋肉が傷ついてその出血箇所に骨化が起こる前方型と、末梢骨折片の後方転位により剥離された骨膜との間に出血が溜まり 、その部分に骨化が起こる後方型があります。また、過剰な運動療法により、上腕骨に接している上腕筋や靱帯などが傷ついて骨化現象が起こることもあります。
 成長期では、骨新生が旺盛なため大人よりも骨化性筋炎を生じやすいといわれます。
 骨化性筋炎を生ずると、硬直したように肘の屈伸ができなくなります。
 通常は、安静にすることで骨化した組織が吸収されていきますが、関節の運動機能が強く阻害されるような場合は、手術による仮骨の除去を行います。

 
 

 

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Copyright © 2012 秋元接骨院 秋元 英俊 最終更新日2016年9月21日
 
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