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鎖骨の脱臼と捻挫 肩鎖関節編

 

このページの目次

 

  鎖骨は外側で肩甲骨と肩鎖関節を形成し、内側で胸骨と胸鎖関節を形成します。特に肩鎖関節は、打撲や転倒により損傷を受けやすい関節で、比較的頻度の高い部位といえます。このページでは、肩鎖関節の構造概略と肩鎖関節脱臼を中心に解説します。
 

 

 肩 鎖関節の構造概略
 肩鎖関節損傷
  肩鎖関節損傷の原因
  肩鎖関節捻挫
  肩鎖関節亜脱臼
  肩鎖関節上方脱臼
  肩鎖関節後方脱臼
  肩鎖関節下方脱臼
 肩鎖関節損傷の治療と予後

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肩鎖関節の構造概略
 肩鎖関節(けんさかんせつ)は、肩甲骨の肩峰(けんぽう)と鎖骨の外側端で構成されています。尚、鎖骨の外側端を解剖学的には肩峰端(けんぽうたん)と言うため、以降肩峰端と表記します。
 鎖骨の肩峰端はわずかに凸面を形成していますが、対する肩峰の関節面はほぼ平面で、肩関節や股関節のようなソケット状の関節では無いため骨性の支持力が無く、関節の支持力を靱帯や周囲筋肉に依存します。
 肩鎖関節は、関節包(かんせつほう)に覆われ、線維性に肩鎖関節を連結しています。またその関節包の上面には、関節包を補強する肩鎖靱帯があります。
 肩鎖関節の関節包の中には、肩峰端と肩峰の間に介在する線維性の軟骨組織が有ります。この線維軟骨は一般的に関節円板(かんせつえんばん)として表記されていますが、人によって半月様の形状であったり、不整形な形状なもの、あるいは線維軟骨が全く存在しない場合もあります。従って、文献によっては線維軟骨板、あるいは線維軟骨様組織と表記されていることもあります。この線維軟骨は、肩鎖関節の関節運動を助ける作用があります。
 鎖骨の外側下部には、烏口突起(うこうとっき)との間に烏口鎖骨靱帯(うこうさこつじんたい)が有り、鎖骨と肩甲骨の連結を強固にしています。この烏口鎖骨靱帯は、2本の靱帯で構成されていて、外側の方が菱形靱帯(りょうけいじんたい)、内側の方が円錐靱帯(えんすいじんたい)といいます。
 肩鎖関節は、上肢の前方挙上(肩関節屈曲)や側方挙上(肩関節外転)の際に、鎖骨肩峰端が前方へ滑りながら後方へ回旋します。また、上肢の後方挙上(肩関節伸展)や、前方や側方に上げた腕を下ろす時には、逆に鎖骨肩峰端が後方へ滑りながら前方へ回旋します。

  肩鎖関節の骨格略図1
     

     

肩鎖関節損傷(肩鎖関節の捻挫・脱臼)

1. 肩鎖関節損傷の原因
 肩鎖関節損傷のほとんどが、転倒して肩を突いたときに発生します。また、転倒した際に手や肘を突いて、肩鎖関節に介達的に外力が加わって起こることもあります。
 鎖骨肩峰端が上方へ脱臼するケースが最も多く見られますが、肩鎖関節や鎖骨外端部への打撃など直達外力により起こる場合は、下方脱臼や後方脱臼など特殊な脱臼を生じることもあります。
 介達性の外力にによる肩鎖関節損傷では、損傷の程度が軽いことが多く、肩鎖関節捻挫や肩鎖関節亜脱臼の方が完全脱臼よりも比率が高くなります。
 レスリングや柔道など投げ倒す格闘技系スポーツに多く、 また、サッカー、ラグビーなどのコンタクトスポーツでも発生頻度が高くなります。その他日常では、作業中の転倒、転落、交通事故による肩周囲への打撃や圧迫などでも起こります。

2. 肩鎖関節損傷の病態と症状
 肩鎖関節損傷は、病態により捻挫、亜脱臼、上方脱臼、後方脱臼、下方脱臼に分類されます。以下それぞれの病態と症状を解説します。

(1) 肩鎖関節捻挫(grade1/Rockwood type1)
 関節包や肩鎖靱帯の部分損傷のみで、鎖骨肩峰端の偏位(脱臼)を生じていない場合を肩鎖関節の捻挫といいます。
 症状は、肩鎖関節の圧痛、患側上肢挙上時の疼痛、患側肩部の圧迫(横向きで寝るなどしたとき)による疼痛、患側上肢での作業時疼痛などが見られます。

(2) 肩鎖関節亜脱臼(grade2/Rockwood type2)
 関節包と肩鎖靱帯が損傷し、肩峰端は上方へ偏位しています。ただし、肩峰端の一部は肩峰関節面との接触部分を残しており、関節から完全な逸脱をしていない不完全な脱臼状態です。また、単純レントゲン撮影では判断できませんが、菱形靱帯の部分損傷を伴う場合もあるようです。
 症状は、肩鎖関節の圧痛、健側よりも突出した肩峰端、肩峰端の弾発抵抗(ピアノキー現象)、患側上肢運動時疼痛などが見られます。
 ピアノキー現象とは、脱臼して上方へ突出した肩峰端を押し下げた後、離すとピアノの鍵盤のように反発して、再び肩峰端が上方へ突出する現象をいいます。

(3) 肩鎖関節上方脱臼(grade3/Rockwood type3 or type5)
 関節包と肩鎖靱帯の損傷に加えて菱形靱帯と円錐靱帯の損傷も起こり、肩峰端は顕著に上方へ偏位し、階段状変形が観察されます。
 菱形靱帯が完全に断裂しているが、円錐靱帯は断裂が無いか、有っても部分断裂のケースと、菱形靱帯と円錐靱帯が共に完全断裂しているケースがあります。当然後者の方が鎖骨肩峰端の上方偏位が大きくなります。
 レントゲン画像で、鎖骨肩峰端の下縁が肩甲骨肩峰の上縁を超えていれば、肩鎖関節上方脱臼の
Rockwood type3として診断されます。また、肩峰端がさらに著しく上方偏位し肩峰端と肩峰関節面が大きく離開している場合は、肩鎖関節上方脱臼のRockwood type5として診断されます。このタイプでは、僧帽筋や三角筋が鎖骨付着部付近で部分断裂を生じているケースが多いようです。
 尚、骨格形成が未成熟な年齢に肩鎖関節脱臼を生ずると、烏口鎖骨靱帯断裂の替わりに烏口突起の骨端線で剥離骨折を生ずることがあります。また、骨格が完成された成人でも、鎖骨や烏口突起に付着する筋肉や腱、さらに烏口鎖骨靱帯の緊張の相互作用で、烏口突起基部の骨折を生ずるケースがあります。その他、頭部と肩峰部分に同時に外力が働くような特殊な条件下で、肩峰への打撃と頭部が強く側屈を強制された場合に、肩甲骨上縁の骨折を伴うことがあるようです。
 症状は、鎖骨肩峰端の顕著な上方突出による階段状変形、肩峰端の弾発抵抗(ピアノキー症状)、肩峰関節面の持続的脱臼痛(脱臼が整復されるまで鎖骨肩峰端が周囲軟部組織を上方へ押し上げ続けるために起こる痛み)、患側上肢の運動時疼痛誘発など。また患者は疼痛を回避するために患側の肘を曲げて健側の手で庇う姿勢をとります。
 烏口突起骨折や肩甲骨上縁骨折を伴うと、骨折部の限局性圧痛、軋轢音(骨折断端の擦れる音)、骨折片の異常可動性などを触知します。

  肩鎖関節脱臼グレード1

肩鎖関節脱臼グレード2

肩鎖関節脱臼と烏口突起骨折の合併

     
肩鎖関節脱臼グレード3−1 肩鎖関節脱臼グレード3−2 肩鎖関節脱臼の症例画像
     

(4) 肩鎖関節後方脱臼(grade3/Rockwood type4)
 肩峰への前方からの直接打撃により起こることが多い脱臼です。
 肩鎖靱帯の断裂、菱形靱帯と円錐靱帯の断裂または部分断裂、三角筋や僧帽筋の鎖骨付着部の部分断裂を生じ、鎖骨肩峰端は後方へ転位します。
  症状は、肩峰の後方に鎖骨肩峰端を触知、強い持続的脱臼痛、疼痛による患側上肢の運動制限、疼痛回避のために患側上肢を健側の手で支え、頭部を患側に傾ける姿勢をとるなど。
 整形外科によるレントゲン撮影では、単純に前後像と側面像を観察しただけでは見落とすことが有るために、腋窩撮影(腋の下から上方へ向かって撮影する方法)が行われます。

(5) 肩鎖関節下方脱臼(grade3/Rockwood type6)
 肩峰への直接打撃で起こることが多い脱臼です。
 鎖骨の肩峰端が肩峰の前下方に脱臼するタイプと、烏口突起下に転位するタイプがあります。肩峰の前下方に転位するタイプでは、関節包・肩鎖靱帯の損傷を伴いますが、烏口鎖骨靱帯の損傷は伴わない、もしくは有っても部分損傷であることが多いようです。一方、烏口突起の下方へ脱臼する烏口下脱臼では、烏口鎖骨靱帯の断裂 や、僧帽筋と三角筋の鎖骨付着部の部分断裂を伴います。
 症状は、肩甲骨の肩峰が突出し、肩峰の内側が凹んだ形状を呈します。患側を前方から観察すると鎖骨の外端が肩峰の下方に位置しているのが見られます。烏口下脱臼ではその症状がさらに顕著に見られ、烏口突起下に鎖骨外端を触知します。また、患側上肢は著しく運動を障害され、持続的脱臼痛を強く訴えます。レントゲン検査では単純前後像でも、鎖骨外端の下方転位が明確に観察することができます。

3. 肩鎖関節損傷の治療と予後

(1) 肩鎖関節捻挫の治療と予後(grade1/Rockwood type1のケース)
 テーピング、包帯、三角巾により、肩鎖関節を約2週間固定します。固定が除去されてもその後2週程度は患部に強い負荷が掛からないように、重い物を持つ、あるいは腕立て伏せをするなど鎖骨に大きな負荷が掛かる運動が禁止されます。その間、患側上肢を動かす軽い自動運動が指導され、また関節拘縮や回旋筋腱板の癒着などが見られる場合は、施術者による他動運動などの物理療法が施行されます。
 回旋筋腱板損傷の合併や関節拘縮を生じなければ、3〜4週でほぼ治癒します。治癒期間の遅延の要因としては、固定期間中の無理な運動や負荷による靱帯の修復遅延、糖尿病など代謝に影響する疾患を有している場合、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩など)を生じている場合などが考えられます。これら遅延要因がなければ後遺症も無く予後良好です。

(2) 肩鎖関節亜脱臼の治療と予後(grade2/Rockwood type2のケース)
 まず上方に転位した鎖骨肩峰端を下方へ圧迫しながら、患側上肢を肘から押し上げる操作で、亜脱臼を整復します。引き続き、その整復位を保持しながら、テーピングや三角巾、包帯 、腋窩シーネなどによる患側上肢帯の固定 と、綿花やラバーパットなどを用いて作成した圧迫用枕子(ちんし)で肩峰端の圧迫固定を施行します。固定期間は4週〜6週が目安となります。
 固定除去後は、負荷を掛けずに右肩関節の自動運動を行います。
 固定除去から1ヶ月以上経過したら、徐々に負荷を掛けて回復訓練を行います。
 初期の処置や固定が不十分であったり、途中で固定を外してしまうと、鎖骨肩峰端 が上方へ突出したままの変形が残り、靱帯は緩んだ状態で修復されます。そのために重いものを持とうとすると、肩峰端が不安定で痛みや違和感を感じるために力が入り難くなります。
 十分な固定期間を経て順調に回復すれば、受傷後4〜6ヶ月で完全回復し、後遺症も残りません。しかし、肩峰端の上方突出変形が残存し、亜脱臼位のままで固まった場合は、新関節形成完成までの間、肩鎖関節の不安定感や物を持ち上げる動作に障害を残します。ただし、この亜脱臼位で新しい関節が形成されて固まると、見た目の変形は残りますが機能的に何ら問題無い状態に戻ります。この新関節形成完成までの期間は、個人差がありますが受傷から2〜3年を要します。

  肩鎖関節後方脱臼

肩鎖関節肩峰下脱臼

肩鎖関節烏口下脱臼

     

(3) 肩鎖関節上方脱臼の治療と予後(grade3/Rockwood type3 or type5のケース)
 通常は、手術適応といえます。単純な上方脱臼であれば手術をしない方法を選択する場合もあります。 ただし、運動選手、あるいは職種により肩鎖関節に大きな負荷の掛かる作業に従事している場合は、手術を選択するのがベストと考えます。
 保存療法では、ギプス固定、肩鎖関節専用固定バンドによる固定、また整形外科では経皮的なキリシュナー鋼線固定などが施行されます。一方、整形外科による手術では、靱帯再建術、キリシュナー鋼線やスクリューなどによる観血的な内固定など、損傷の状態や医師の方針により適切な方法が選択されます。 固定期間は4〜6週です。固定除去後3ヶ月ぐらいで、日常生活動作は問題なくなります。ただし重いものを持つなどの重労働ができるようになるまで2年以上経過を要することも少なくありません。従って、スポーツや労働に早期復帰を希望する場合は、整形外科による手術を勧めます。
 保存療法と手術療法の比較では、手術療法の方が予後良好であることが多いようです。尚、保存療法を選択した場合は顕著な変形が残りますが、肩峰端が上方突出したままの位置で新関節を形成するため、 受傷後2〜3年を経て機能的には支障が無くなるのが一般的です。

(4) その他の肩鎖関節脱臼の治療と予後(Rockwood type4 or type6のケース)
 後方脱臼、下方脱臼ともに手術による治療が行われます。これらの肩鎖関節損傷では、靱帯や鎖骨付着筋群の損傷が著しいものが多く、徒手による整復も困難なためです。ただし、肩峰の前下方に脱臼するタイプの下方脱臼では、靱帯損傷や周囲軟部組織の損傷が少ないケースが多いので、徒手整復が可能であれば、保存療法とする場合もあります。
 手術をした場合、あるいは保存療法が可能で保存療法とした場合のどちらの場合でも日常動作が問題なく行えるようになるのは4〜6ヶ月頃からとなります。また、スポーツなどへの復帰には1年近くを要します。

 

※肩鎖関節損傷の固定のポイント
 肩鎖関節損傷を起こすと、上肢を支える骨性支持を失うため、上肢が下へ下がってしまいます。その下垂した上肢の重量による牽引力が損傷した肩鎖関節をさらに解離するため、疼痛と脱臼感が強まります。
 肩鎖関節に負担を掛けないようにするためには、患側(痛めた側)の上肢を体幹にしっかり固定することが大切です。

※ 新関節の形成
 肩鎖関節の脱臼の程度があまりひどくなければ、完全に元の位置に戻らなくても、脱臼位のまま固まり、やがて痛みも消失して機能的にも日常動作ならば何ら問題の無い状態になります。これは鎖骨肩峰端が少し上方へ転位した状態のまま周囲の組織が変化して新しい関節を形成するからです。
 新関節の形成完了まで、早くても1年、程度によっては3年〜4年を要します。
 新関節の形成完了までの間は、重たいものなどを持とうとすると肩鎖関節で支えきれずに鎖骨外端が上にずれていくため、脱臼感や痛みが再発します。
 重いものを持ったり、引っ張ったりする際の、鎖骨外端の違和感や痛みがなくなるまでは、適度に動かしてなじませながら無理をしないことが大切です。

     

 

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Copyright © 2012 秋元接骨院 秋元 英俊 最終更新日2016年9月21日
 
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