股関節と大腿部のスポーツ障害@
バネ股(弾発股)(大転子滑液包炎) 〜股関節外側に痛みの出る炎症
股関節の運動の際に、バネのように一度引っ掛かってから弾き出される動き、すなわち弾発現象を起こすものをバネ股(ばねまた)もしくは弾発股(だんぱつこ)といいます。
バスケットボールやバレーボール、クラシックバレーなど跳躍運動の多いスポーツやダンスで発生しやすい障害です。
この弾発現象は、大腿骨の大転子(だいてんし:大腿骨上部の外側に出っ張った骨)の上を筋肉や腱が通過する際に起こる現象で、大転子と筋肉や腱の間にある滑液包
(かつえきほう)の炎症が原因となることがほとんどです。
跳躍動作をする際に、大殿筋(だいでんきん)や腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)が大転子の上を通過するのですが、その滑りをよくするのが滑液包の役割です。しかし、この跳躍動作が繰り返されるうちに、滑液包が摩擦によるダメージを受けて炎症を起こし腫れるため、通過する筋肉や靱帯がこの腫れた部分に引っ掛かるようになります。この引っ掛かる際にバネのような弾発現象と痛みを生じます。
この弾発現象が起こらず、股関節の外側に痛みだけが出る場合もあります。これは、炎症初期に見られ、股関節外側の大転子上に圧痛があります。この段階では、運動中や運動直後の痛みを訴えますが、安静で軽快します。
治療と予後
安静時や歩行時の痛みが無ければ運動は許可します。運動前の股関節のストレッチや運動後のアイシングもしくは冷湿布を行い、患部のメンテナンスをしっかりすることが大切です。
安静時や日常動作の痛みを訴える場合は、その痛みが消えるまでの間、患部を安静にする必要があります。
症状として弾発現象を有し、その発症期間が長くなると、疼痛が消失しても弾発現象だけ残存する場合があります。また、一度治っても繰り返し発症していると、弾発現象が後遺症のごとく残存することがあります。この弾発現象の残存により、炎症の再発を繰り返したり、運動パフォーマンスに影響するようであれば、整形外科による手術を要する場合もあります。手術は腸脛靱帯
(ちょうけいじんたい)の切開などを行います。体質や罹患している他の疾患などによる個人差がありますが、一般的に手術後は6週ぐらいで運動復帰ができるようです。
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