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足と足指の骨折bone fracture page No.2

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足と足指の骨折は、比較的頻度の高い骨折です。スポーツ中のケガとしても多いのですが、階段を踏み外したり、柱や物に足指をぶつけるなど日常の小さな事故でも非常に多く見られます。 このページでは足部と足指の骨の構成と、骨折の概要を掲載します。

足の骨の構成

足の骨は構成上、足根骨、中足骨、趾骨(解剖学的には「足の指骨」と表記される)に分けられます。
足の骨格は医学的に後足部、中足部、前足部に分けられています。この分類は、解剖学的ではないのですが、手術など治療上の位置を示すために決められたものです。それを踏まえた足の骨の位置と役割でいうと、足根骨は 足の後足部と中足部を構成し、踵や足の縦アーチの支柱として働き、距骨上部で足関節を構成しています。中足骨は足趾を除いた足の前足部の支柱となり、趾骨が足の指の支柱となっています。

足の骨格略図

※ リスフラン関節とショパール関節
距骨・踵骨側と舟状骨・立方骨側の間を分割するラインをショパール関節Chopart's jointといいます。
一方、内側楔状骨・中間楔状骨・外側楔状骨・立方骨側と第1〜5中足骨側を分割するラインをリスフラン関節Lisfranc's jointといいます。
このショパール関節とリスフラン関節は、医学的に足を前足、中足、後足に分割するラインとなり、手術で切断するときの基準となります。
ショパール関節は横足根関節、または足根中央関節とも呼ばれますが、どちらも解剖学的名称ではありません。解剖学や生体運動学の観点からは、外側に位置する踵骨と立方骨で構成する踵立方関節と、内側に位置する距骨と舟状骨で構成する距舟関節となります。
一方のリスフラン関節は足根中足関節とも呼ばれ、解剖学的には隣接する各骨間どうしでそれぞれ関節を形成しており、それぞれの関節の運動を連動させて足根中足関節全体で機能する複合関節としての性格を有しています。


足根骨(そっこんこつ)

足根骨は距骨(きょこつ)、踵骨(しょうこつ)、舟状骨(しゅうじょうこつ)、立方骨(りっぽうこつ)、内側楔状骨(ないそくけつじょうこつ)、中間楔状骨(ちゅうかんけつじょうこつ)、外側楔状骨(がいそくけつじょうこつ)の7個で構成されています。

足の骨格略図2

 距骨(きょこつ)
距骨は、踵の骨(踵骨:しょうこつ)の上方に位置する足根骨。その上面は距骨滑車(きょこつかっしゃ)と呼ばれ、下腿の脛骨(けいこつ)及び腓骨(ひこつ)と共に足関節を形成します。一方、距骨の下面は踵骨の上面と距骨下関節(きょこつかかんせつ)を形成します。距骨の前方は距骨頭(きょこつとう)と呼ばれる凸面が有り、舟状骨と関節しています。

 踵骨(しょうこつ)
文字通り「かかと」の骨で、その上面にある後距骨関節面と内側に突出する載距突起の中距骨関節面、およびその前方の前距骨関節面の合計3箇所で距骨と関節し、前方で立方骨と関節しています。

 舟状骨(しゅうじょうこつ)
舟状骨は、距骨の前方に位置し、後方で距骨と関節し、前方で内側・中間・外側の三つの楔状骨と関節しています。舟状骨は、これらの足根骨とともに、足の縦アーチを形成し、そのアーチの頂点に位置します。


足根骨を上面から見た図
立方骨を下面から見た図

踵骨を上面から見た図
踵骨を内側面から見た図

 立方骨(りっぽうこつ)
踵骨の前方に位置し、後方で踵骨と関節を形成する他、 前面では第4及び第5中足骨と関節し、内側では外側楔状骨と関節しています。また、内側後方では舟状骨と関節します。

 楔状骨(けつじょうこつ)
楔状骨は片足に内側楔状骨、中間楔状骨、外側楔状骨の三つがあり、それぞれ前方で内側から第1中足骨、第2中足骨、第3中足骨と関節しています。また後方では、舟状骨の前面と関節しています。


足根骨を上面から見た図
足の骨格を足底面から見た図

中足骨(ちゅうそくこつ)

中足骨は内側から第1中足骨、第2中足骨、第3中足骨、第4中足骨、第5中足骨の5個から成ります。遠位端(前方)の骨頭では趾骨の基節骨と関節し、近位端(後方)の基部では第1中足骨が内側楔状骨、第2中足骨が中間楔状骨、第3中足骨が外側楔状骨と関節し、第4、第5中足骨が立方骨と関節しています。
中足骨の中で、第1中足骨はその遠位端底面に2個の種子骨(しゅしこつ)があります。

足の指節骨(しせつこつ)

趾骨(しこつ)、解剖学的には足の指節骨(しせつこつ)も中足骨と同様に内側(母趾)から第1〜5趾骨で表記されます。また、趾骨は片足全部で14個の指節骨で構成され、次のような内訳となっています。
第1趾骨は2つの指節骨(しせつこつ)から成り、先端側から末節骨(まっせつこつ)、基節骨(きせつこつ)となります。
第2〜5趾骨はそれぞれ3つの指節骨から成り、先端側より末節骨、中節骨(ちゅうせつこつ)、基節骨となります。
尚、第5趾骨(足の小指の骨)については、成長期の段階で末節骨と中節骨がくっついて、ひとつの指節骨となっているケースが多く見られます。足の末節骨と中節骨が癒合している画像では、第4趾と第5趾の末節骨と中節骨が癒合しています。このような例では、第4趾及び第5趾は、末節骨と基節骨の2つで構成されていることになります。

足の末節骨・中節骨の癒合

足根骨の骨折概要

足根骨の骨折は、交通事故や高所よりの転落による距骨骨折や踵骨骨折、足関節捻挫に伴う踵骨前方突起骨折、立方骨骨折、距骨外側突起骨折、舟状骨骨折などが挙げられます。ここでは各足根骨ごとに、外傷により生じる骨折の概要を掲載します。

<踵骨骨折>

踵骨骨折は、交通事故や高所よりの転落などで踵を強く突いたときに起こる衝突・圧迫型の骨折と、捻挫や反復動作で起こる剥離(はくり)型の骨折があります。


1.転落などによる衝突・圧迫型の骨折

 踵骨舌状型骨折の概要
上記の通りこのタイプの骨折は、高所よりの転落や飛び降り、あるいは交通事故の際に、踵骨を強く突いて起こります。
骨折型は主に踵の後面を突いて起こる陥没(かんぼつ)型骨折と 、踵の下面を突いて起こる舌状(ぜつじょう)型骨折があります。
図に比較的良く見られる舌状型骨折の発生幾序一例の図解を掲載しています。
図「踵骨骨折の幾序@」の状態では後距骨下関節から下方に向かって骨折線を生じます。またさらに「踵骨骨折の幾序A」のように自重からの圧力と衝突による下方からの外力が距骨外側突起との接触面でぶつかり合い、その衝撃は放射状に分散します。この時、力学的に脆弱な方向へ骨折線が生じます。図では踵骨後方へ向かって水平に骨折線が生じています。
図@・図Aの状態では骨片の転位が無い、もしくはあっても徒手整復が可能で整復後の骨片が安定し、再転位の恐れが低い場合は、ギプス固定のみで予後も良好です。一方骨片転位の徒手整復が困難場合は手術的な整復と固定が施行されます。
図「踵骨骨折の幾序B」の状態では、手術的な整復と固定を要します。
尚、図解はありませんが踵の後面を突いて起こる陥没型骨折では、徒手整復は困難なため、手術的な整復・固定が施行されます。

踵骨骨折の幾序

 踵骨骨折の予後
骨折部分が癒合しても痛みや腫れがいつまでも取れないケースが多く、骨癒合後のケアに苦労します。疼痛や腫脹が消失するまで2〜3年を要する症例も非常に多く見られます。また、粉砕骨折やその他の後距踵関節に骨折線が及んでいる症例では、後遺症が生涯残存する場合がほとんどといえます。特に外傷後関節症などで変形を生ずると強い疼痛や歩行障害が残存します。この様な場合は、関節固定術などの手術を行うこともあるようです。

 踵骨骨折の合併症
合併症として頻度が高いものに脊椎圧迫骨折(主に第12胸椎、第1腰椎、第2腰椎に多い)があります。踵骨骨折では、そのほとんどが2〜3m以上の高所より転落して起こるため、転落の衝撃で脊椎の圧迫骨折を同時に受傷する ことがあります。踵骨骨折受傷の際に、腰痛や背部痛が起こったときは、脊椎の検査も受けることを勧めます。
その他の合併症で多いのは、腓骨筋腱腱鞘炎が見られます。踵骨の骨折により腓骨筋腱の走行経路がずれたり、あるいは狭くなることで起こります。

※ 踵骨骨折による踵骨の骨萎縮の問題
踵骨骨折で難しいのは骨片転位の改善ばかりではありません。この骨折に常に付きまとうのは、安静期間中に踵への過重刺激が無いことによる踵骨の骨萎縮を生じる点です。骨は物理的な刺激が無いと血流が悪くなり骨密度が低下して萎縮を起こします。従って、骨折部分が安定し、再転位の恐れが無い場合は、早めに荷重刺激を行って踵骨の委縮を防ぐことが重要です。一方、骨片転位の恐れがある内は荷重歩行ができないので、あまり安静期間が長いと慢性的な疼痛や浮腫などの後遺症を残す可能性が高くなります。


2.捻挫などによる靭帯・腱の張力による裂離型骨折

このタイプの骨折には、足関節内反捻挫時に生ずる踵骨前方突起骨折、アキレス腱付着部のくちばし状骨折などがあります。

 踵骨前方突起骨折
足関節捻挫(足首の捻挫)の際に合併することが多い骨折です。捻挫により足関節の内反強制を生じたときに、踵骨前方突起に付着する二分靱帯や頚靭帯に強力な張力が加わり、この靱帯の張力により踵骨前方突起が引き剥がされるように裂離骨折を起こします。
症状は踵骨前方と舟状骨・立方骨との間に、圧痛や腫脹、皮下出血、荷重歩行時の疼痛などが現れます。
また足関節の内反や底屈動作を行うと疼痛が誘発されます。
踵骨前方やその近傍には様々な靱帯が付着しているため、同様の発生幾転で外側距踵靭帯付着部や背側踵立方靭帯付着部の裂離骨折を生じたり、それら靱帯損傷との鑑別を要します。従って診断は整形外科のX線検査や運動器エコー検査などで確定します。
治療はギプスやシーネなどにより4〜6週の固定が施行されます。尚、転位が有る場合、骨片が大きければ螺子などで手術的に整復固定します。一方骨片が小さくて整復固定が困難なものでは摘出術となります。
固定除去後しばらくの間は荷重歩行痛や足関節運動痛(特に内反や底屈)が残存しますが、次第に改善されます。
この骨折は足関節の内反捻挫を受傷機転とすることがほとんどなので、足関節捻挫として処置されて、当該骨折を見逃されるケースがあります。見逃されたまま陳旧化すると痛みが長期化する場合があります。この様な陳旧例に対しては、整形外科ではステロイド剤や局所麻酔剤などの注射や、裂離した骨片の摘出手術が施行されます。また、整形外科医の指導の下で接骨院で電気治療やマッサージ、ストレッチなどの理学療法を施行して経過観察を行うこともあります。

距骨下関節を支える外側靭帯略図
踵骨前方突起骨折の圧痛点

二分靭帯の位置を示す略図
踵骨前方突起裂離骨折の位置を示す図

 踵骨隆起後上角裂離骨折・踵骨隆起後上角くちばし状骨折
高所からの転落や飛び降りにより踵から着地した際、その衝撃の反動で足関節が急激な背屈強制を受けることでアキレス腱の急激な過伸展を生じ、踵骨隆起後上角に裂離骨折を生じたものを踵骨隆起後上角裂離骨折といいます。またアキレス腱の牽引により上方へ転位すると、カモのくちばしのような骨片転位を生じるため、鴨嘴状骨折(おうしじょうこっせつ)、または嘴状骨折(くちばしじょうこっせつ)とも呼ばれます。

踵骨骨折の原因
踵骨骨折の原因

この骨折では後上角の骨片がアキレス腱付着部を含んでいるか否かで対処が変わります。アキレス腱付着部を含む骨片を生じている場合は、転位が無くても後に転位する可能性が高く、キュルシュナー鋼線、金属プレート、テンションバンドワイヤーを用いたピン固定、スクリュー固定などを状態に応じて選択した手術的整復固定処置が行われます。
後上角の骨片アキレス腱付着部を含まない場合は、転位が無ければギプス固定などによる外固定のみで十分です。尚、転位がある場合はスクリュー固定などによる手術的な内固定を施行します。また、骨片がとても小さくスクリューやワイヤーなどで固定ができない場合は除去手術が施行されます。


<舟状骨骨折>

舟状骨骨折は捻挫や打撲を起因とした外傷性骨折と運動や労働による疲労骨折で見られます。このページでは、外傷性骨折と疲労骨折を分けて解説します。

1.舟状骨の外傷性骨折

外傷性舟状骨骨折は足の内反(内返し)捻挫による背側近位関節縁剥離骨折が最も多く、その他に足の外反(外返し)捻挫による結節部骨折、打撃による直達外力や過底屈による体部骨折があります。

 舟状骨背側近位関節縁剥離骨折
足の内返し捻挫で損傷することが多く、捻挫した際に背側距舟靭帯に引っ張られて剥離骨折を起こします。圧痛がショパール関節背側の舟状骨縁にあり、同部を中心に皮下出血や腫脹が出現します。足関節捻挫の外側靭帯損傷が合併することも多く、転位が無い骨折では足関節の外側靭帯損傷に気を取られて当該骨折が見逃されることもあります。
治療は転位の無い骨折では足関節と共に4〜6週の包帯・副子固定を施行します。転位があるものでは整形外科にてKワイヤーなどによる手術的な整復固定が施行されます。

足の内返し
距骨下関節とショパール関節を支える外側靭帯

距骨下関節とショパール関節を支える内側靭帯
舟状骨剥離骨折略図

 舟状骨結節部骨折
足の外反捻挫をした際に舟状骨結節が背側へ屈曲ストレスを受け、かつ後脛骨筋の急激な張力が作用し骨折を生じます。この骨折は外脛骨を有する場合や、外反足を生じている場合に発生確率が高くなります。

足の外返し
舟状骨結節部骨折略図

舟状骨と立方骨の断面図
足の外反捻挫による舟状骨結節部骨折

症状は舟状骨結節部の限局性圧痛と腫脹、皮下出血が見られ、レントゲン検査で結節部の骨折が観察されることで確定します。
治療は、転位がなければギプス固定により4〜6週で骨折部は癒合します。転位が有り、整復位保持が困難なものは整形外科にてキリシュナー鋼線や螺子などによる整復固定を施行します。
予後は結節部の仮骨形成により靴に当たるようになって皮膚損傷を生じやすくなることがあるので、その場合は足底板やインソールなどで調整するか保護パッドを利用して皮膚を保護します。結節部の過剰な膨隆を生じなければ予後は良好です。


 舟状骨体部骨折
舟状骨体部骨折は発生頻度としては比較的少ない外傷です。舟状骨に直接打撃を受ける直達性外力や前足部の内・外転を強いられる外力などで発症すると言われています。

舟状骨体部骨折略図
舟状骨体部骨折略図

舟状骨体部骨折で転位の無い骨折の場合は、単純X線では判断できないことがあります。この様な場合は打撲や捻挫など骨折を生ずる外傷を受けた事実と、舟状骨体部に限局する圧痛や腫脹の存在から舟状骨体部骨折を疑うケースであれば造影剤による画像検査やCT検査により精査します。
治療は、転位が無ければギプスなどによる固定処置となります。転位がある場合は、足根骨間脱臼や足部変形などの二次的障害を防止するために手術的整復固定を行います。
固定期間は6週間前後が目安です。予後は、転位が無い、若しくは有っても整復位保持が容易なケースは予後良好です。一方、粉砕骨折や整復位保持困難な転位を有する場合は、隣接する足根骨との間で脱臼を生じたり、足部変形を残すことがあります。


2.舟状骨疲労骨折

足の縦アーチの頂点に位置する舟状骨は、ランニングやジャンプなどあらゆる足の運動動作で周囲の骨から圧力や牽引力を受けます。この圧力や牽引力などの外力の反復により徐々に舟状骨が損壊し疲労骨折を生じます。特に短距離走の選手やハードル競技、体操、バスケットボールの選手などで症例が報告されています。
舟状骨は距骨と関節する面が窪んで弯曲した陥凹を形成しています。跳躍やダッシュをのように踵が持ち上がり前足部方向に繰り返し外力が作用する場合、距骨の距骨頭が舟状骨の陥凹している関節面に繰り返し衝撃を加えます。この際に陥凹の頂点となる関節面の中央部分から抹消方向へ徐々にひび割れて行き疲労骨折を生じます。従って、典型的な舟状骨の疲労骨折では、背側面から見ると舟状骨の体部を縦断するように骨折を生じます。また、断面図でみると舟状骨体部の背側中央から、隣接する立方骨と接触する部分へ向かって亀裂を生じているものが多く見られます。

舟状骨疲労骨折略図
舟状骨疲労骨折断面図

症状

発症初期では歩行やランニングで足の内側に重心が乗る時に舟状骨辺りに痛みを感じ、特に足の母趾球(ぼしきゅう)で蹴りだすのが疼痛により困難になります。但し、足の外側に重心を乗せる歩き方や踵寄りに重心を乗せる歩き方などでは痛みを感じません。また、しばらく安静にしていると痛みが軽快することもありますが、我慢してトレーニングを続けているとさらに疼痛が増して歩行が困難な状態になります。
触診では舟状骨の骨折部に一致した限局性圧痛を触知し、骨折の程度が進行するほど舟状骨を中心とした腫れも顕著になります。
画像検査では、発症初期は不明瞭で判断がし難いケースがほとんどです。しかし、発症から数週間の経過、もしくは悪化して骨折の程度が進むと明確な骨硬化像や骨折画像が得られます。

治療

発症初期や骨折の程度が軽い場合は足の縦アーチをサポートする足底板を使用して固定します。一方、完全骨折やそれに近い亀裂を生じた骨折ではギプス固定、もしくは螺子や鋼線による手術的な固定を施行します。また、骨の癒合が悪く骨折部の遷延化や壊死の恐れがある場合は骨移植が施行されることもあります。
明確な骨折線が観察されるレベルの骨折では、約1ヶ月の患部の免荷となります。その後、足底板や固定装具などにより徐々に荷重を掛けて経過を観察します。運動復帰には早くても3ヶ月を要します。尚、骨の癒合が進まない場合は6ヶ月以上の患部の安静を強いられることもあります。
骨癒合が完了しても、しばらくは運動靴や日常の靴などにアーチをサポートする足底板やインソールの挿入、あるいはサポーターの装着でアーチを保護しながら再発を予防します。


中足骨骨折

中足骨は、足の上に物を落としたり、踏まれたりなどの際に外傷を受けやすい部分で、骨折の頻度も高いといえます。また、 スポーツや労働などで反復する外力の影響により疲労骨折を生じるケースも多い部位です。

1.外傷性骨折

 事故や労働災害による中足骨頚部骨折及び骨幹部骨折
自動車の車輪などに踏まれる、あるいは重量物を足に落としたときなどに起こります。2〜3本、即ち複数の中足骨が骨折する症例が多くみられます。骨片転位がある場合は底側(足裏側)凸の屈曲変形を生ずるものが多く、2〜5中足骨4本や3〜5中足骨3本などの骨折では外側へ転位します。また、この様な外傷性骨折では皮膚や皮下組織の損傷を合併していることが多く、これら軟部組織に対する処置の方が問題となることがあります。
転位が無い骨折、あるいは有っても底側へ僅かに突出している程度であればギプス固定による保存療法で十分です。
顕著な転位(ずれ)のある骨折を生じた場合や1本の骨が3つ以上に骨折(複合骨折・粉砕骨折)した場合は、キルシュナー鋼線や金属プレートなどを用いた観血的処置を要します。
転位がほとんど無いものや、転位があっても整復、固定により大した変形を残さなかったものでは予後は良好です。
一方、底側凸、あるいは背側凸などの変形を残すと歩行時の圧力分布が変化することによる疼痛や、突出部が靴など
に擦れることによる皮膚損傷などに悩まされることになります。


第2〜4中足骨頚部骨折略図
第2〜5中足骨骨幹部骨折略図

 スポーツや捻挫による外傷性中足骨骨折
スポーツでは、固い路面や固い床でジャンプやターンをした時に第2中足骨や第3中足骨の骨折を起こすことがあります。特に体操、バレエなどで多く見られます。また、足の内返し捻挫により第5中足骨基底部の骨折を生ずる例が非常に多く見られます。

 第2・第3中足骨のスポーツや捻挫による骨折

第2中足骨骨幹部外傷性骨折
第2中足骨頚部外傷性骨折

第2中足骨や第3中足骨では、つま先立ちでターンしたり、ジャンプや強い踏み込みで起こります。
中足骨の骨幹部や基部で骨折を生じた場合は骨片転位もほとんど無いか、有っても僅かであることが多いのですが、中足骨の頚部で起こると底側凸の屈曲骨折を起こし、骨片転位を生じやすくなります。
転位が無いあるいは有っても僅かで安定している場合は、包帯副子固定で十分ですが、転位が大きい場合は、キルシュナー鋼線やプレート固定など手術的な整復・固定処置を要します。
固定期間は7週〜8週が目安です。

 捻挫やつま先立ち動作による第5中足骨骨幹部骨折
第5中足骨の骨幹部骨折は、屈曲骨折タイプと斜骨折タイプがあります。
骨幹部の屈曲骨折タイプは、骨幹部近位端と基底部の境界部辺りで起こります。この骨折は、踵を上げてつま先に重心が乗った状態でターンをするときに起こり、サッカーやレスリング、柔道などで症例を見ることがあります。日常でもベッドから立ち上がる際につま先に重心が乗った状態で側方にターンするような動作で生じることもあります。骨幹部の斜骨折タイプは、骨幹部近位端から中央部に至り、斜骨折や螺旋骨折を生ずるもので、踵を浮かしつま先に重心が乗った状態で足の内返し捻りを生じた際に起こります。
治療は、転位の無い場合6〜8週の副子固定やギプス固定で十分です。ただし、骨癒合が得られないまま骨硬化像を観察する場合は手術となります。この骨硬化像が出現するということは、骨折部周囲の骨片が変性・萎縮を起こしている状態を示し、骨は癒合せず偽関節に至ります。従って、骨硬化像を観察したら直ちに整形外科による手術が施行されます。
手術は、螺子による髄内固定が施行される場合や、骨硬化部の切除と切除部への骨移植の何れかが施行されることに
なります。手術後は4週間程度の免荷が指示され、骨癒合が得られてから1〜2ヶ月でスポーツなどに復帰できるようになるのが一般的なようです。骨癒合には2〜3ヶ月を要するため、全治3〜4ヶ月ぐらいが目安です。

第5中足骨骨幹部骨折症例略図その1
第5中足骨骨幹部骨折の症例略図その2

 第5中足骨基底部骨折(下駄骨折)
足を内返し捻挫した際に起こる骨折です。主に第5中足骨基底部に起こり比較的頻度の高い骨折です。段差を踏み外したり、傾斜のある路面で足を挫いたときに足関節の内反強制を起こすと、第5中足骨基底部に付着する短腓骨筋腱が引き伸ばされ、その腱の牽引力と第5中足骨に加わる捻転力により、捻じ切れるような感じで骨折を生じます。主に足関節の内反強制により起こるため、足関節捻挫(足首の捻挫)として処置され、この骨折が見逃されるケースもあります。骨折型は斜骨折やらせん骨折を呈することが多く、剥離した骨折片が回転転位などの骨の転位(ずれ)を生ずることもあります。
治療は、転位が無い、もしくはあっても徒手整復できるものでは、ギプスや副子により4〜6週の固定を施行します。徒手では整復困難な転位を生じたものでは、整形外科にてキリシュナー鋼線、テンションバンドワイヤー、螺子などによる手術的な整復・固定を行います。
全治には、骨折の程度や状態により2〜4ヶ月程度が目安となります。

足の内返し
第5中足骨基底部骨折レントゲン画像

2.スポーツ障害・労働障害による疲労骨折

 中足骨疲労骨折
中足骨の疲労骨折はマラソン、ジョギング、ウォーキングや剣道など、反復する踏み返し動作を行う運動で起こります。また、軍隊の長距離行軍訓練などで多発するため行軍骨折と呼ばれることもあります。
好発部位は第2中足骨骨幹部と第3中足骨骨幹部です。始めは運動後に足の甲に痛みが起こり、安静で軽快する症状が現れます。そのまま進行すると足の甲に腫脹、歩行痛、圧痛を生じ、次第にその程度が悪化してきます。レントゲンにおいても初期では影像に現れないことが多く、2〜3週後に再度撮影してわかることがあります。しっかりした安静固定を施行しないと、過剰仮骨形成を生じて慢性的な痛みに悩まされることが多く、稀に偽関節(骨折部分が癒合しないまま固まってしまう状態)を生ずることもあります。
治療は痛みが完全に取れるまで安静にすることが基本です。必要に応じてギプスやシーネなどによる固定を施行しますが、レントゲン上で骨折の存在が不明瞭な場合では、テーピングや包帯などによる簡易固定で様子をみることもあります。順調に回復すれば1ヶ月程度で運動に復帰できますが、中足骨の基底部(近位端)で疲労骨折を生じている場合は、骨折部の癒合が悪く3ヶ月程度の安静固定を要するケースもめずらしくありません。尚、基底部の疲労骨折では偽関節になりやすい傾向があるため、螺子などの内固定を使用した手術的な処置が施行される場合もあります。

第3中足骨骨幹部疲労骨折レントゲン画像
ジョーンズ骨折レントゲン画像

 ジョーンズ骨折(Jones骨折 、第5中足骨基部疲労骨折)
ジョーンズ骨折は、第5中足骨の基部に起こる疲労骨折で、特にサッカー選手に多く見られます。
この骨折は、サッカー、ラグビー、バスケットボールなど走っている最中に方向転換をする際、前足部(中足骨より先の部分)でブレーキをかけて捻る動作を繰り返すうちに、第5中足骨の後方端と骨幹部の境界辺りに物理的ストレスが蓄積し、徐々に疲労性の骨折を生じます。
発症初期は運動後に第5中足骨基底部辺りに痛みが出現し、安静で軽快する症状が見られ、次第に第5中足骨基底部を中心に歩行時痛や腫脹が現れ、徐々に悪化していきます。
ジョーンズ骨折は、骨折部の癒合が悪く偽関節に陥りやすい骨折として知られており、できるだけ早期に適切な処置を行う必要があります。
治療は、発症初期でレントゲン上では亀裂が不明瞭な程度の場合、サポーターやテーピングなどの固定を施行し安静にすることで回復することがあります。一方、骨折部の癒合が悪く症状が改善されない場合や症状が進行し明確な骨折が見られるものでは低周波や超音波などによる骨癒合促進刺激を施行して経過を観察します。しかし、それでも骨癒合が進展せず偽関節に至る危険性が高い場合は整形外科による手術を要します。手術は骨折部に癒合を促進するための螺子を埋め込む方法やテンションバンドワイヤーを使用した固定が一般的です。
ジョーンズ骨折は、ハイアーチや内反足の選手に多く見られるため、再発防止や予防のために足裏全体に均等に負荷が掛かるようにインソールで調整したり、ヒールウエッジを踵の外側に挿入し内反足を修正するなどを行うと効果があるとされています。


 成長期に起こる中足骨の骨端線離開
成長期では、中足骨の骨端線離開を起こすことがあります。
骨端線とは、骨の成長を担う成長軟骨層と骨本体との境界部分のことで、レントゲンでは線状の透過像として描出されるので骨端線と呼ばれます。この骨端線部分は物理的強度が弱いため、成長期の骨折の多くはこの骨端線部分で起こります。
中足骨では、第1中足骨が基底部に骨端線があり、第2〜5中足骨は骨頭に骨端線があります。従って、第1中足骨の骨端線離開は基底部に起こり、その他の中足骨は骨頭に起こります。

子どもの中足骨レントゲン画像
第1中足骨基底部骨端線離開レントゲン画像

治療は金属シーネやギプス固定で4〜6週間程度安静にします。尚、転位を生じたものでは整形外科にてKワイヤーなどによる手術的な整復・固定を施行する場合があります。
予後は比較的良好で後遺症も残さず治癒することがほとんどです。


趾骨骨折(足指の骨折)

趾骨骨折 の多くは、躓く(つまづく)、ぶつけるなどの突き指により起こるものと、足指に物を落としたり、相当な力で強く踏まれたりした場合に起こるものがあります。これを外傷性骨折といいます。一方、長時間の負荷や繰り返される捻れなどにより起こる疲労骨折もあります。

足指の外傷性骨折の概要と症例

足の指の骨折は、テーブルの脚や柱などに強打・突き指して起こすことも多く、とても頻度の高い骨折といえます。この場合は4趾、5趾の突き指による骨折が目立ちます。また、基節骨の脱臼を伴う脱臼骨折が多いのも特徴です。
サッカー、柔道、レスリングなどのコンタクトスポーツでは、母趾の骨折も非常に多く、突き指の他、踏まれたり過剰な屈曲を強いられたときに生じます。
その他では、ジャンプなどの跳躍動作で着地の際に足指を過伸展して骨折することがあります。この場合は2趾や3趾に多く見られます。また交通事故で乗用車のタイヤに踏まれたり、重い荷物を足に落とした場合は2〜4趾の基節骨折など複数の足指に骨折を生ずる症例も見られます。
画像@母趾基節骨骨折(粉砕型)は、テーブル運搬中に自分の足の上にテーブルを落とし、テーブルの脚による強打で骨折したものです。
画像A左第2趾末節骨基底部剥離骨折は、足の第2趾を突き指した際に起こった骨折。このケースは突き指により趾節間関節が強く屈曲され、その際に関節靱帯に急激に引っ張られることにより関節靱帯の付着している部分が剥離(はくり)されたものです。

母趾基節骨骨折粉砕型レントゲン画像
第2趾末節骨基底部剥離骨折レントゲン画像

足指の外傷性骨折の症状と経過

骨折部位の圧痛・腫脹・皮下出血を生じ、骨片の転位(ずれ)のある場合は、肉眼で分かるぐらい変形します。
骨の転位(ずれ)が無い場合は、テーピングや副子(ふくし:添え木のようなもの、足指では、アルミ製の副子や熱可塑性キャスト材などが使われることが多い)でしっかり固定し、3週間ぐらいの患部の安静を確保できれば、後遺症も残さず予後も良好です。しかし、3週間経過しない内に、固定をはずしたり、無理に動いて負荷を掛けると、再骨折や骨折部の過剰仮骨形成により骨折した足指が太くなったり、腫れがなかなか引かないなどの後遺症を生ずることがあります。
骨片転位のあるものは、矯正してから固定します。この様な転位のある骨折では、矯正・整復後に再転位の恐れがあるものでは整形外科にてキルシュナー鋼線による髄内固定などの手術的な整復・固定が行われます。
予後も転位の無いものと比べて不良で、足指の関節可動範囲が狭くなり、靴による圧迫や歩行時の踏み返しで慢性的な疼痛を訴えるケースも多く見られます。


足指の疲労骨折(母趾基節骨疲労骨折)の概要

足指の疲労骨折では、外反母趾などを誘因として、母趾の基節骨に疲労骨折を生じることがあります。
外反母趾により母趾に捻れや指先が上に向いて反るなどの変形を有すると、ランニングやステップなどの反復動作の際に、長母指伸筋腱の作用などで母趾の中足指節関節(MP関節)に外反ストレスが繰り返し加わり、基節骨に疲労骨折を起こします。
この疲労骨折は、外反母趾でなくても、つま先が窮屈な靴や、つま先が外振りの靴を履いて運動をした場合でも起こることがあります。

母趾基節骨疲労骨折の略図

 症状
発症初期は母趾中足指節関節の運動時痛のみの場合が多く、運動と続けているうちに次第に腫れや痛みが強くなって安静時でも痛むようになります。
画像検査では、X線で基節骨基部内側に斜骨折の画像を得られます。

 治療
スポーツ活動の完全中止、外反母趾の矯正肢位による患部の固定で、骨折部の限局性圧痛が消失するまで安静を保持する。順調ならば2〜3ヶ月で復帰可能となることがほとんどです。


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