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オスグッド・シュラッター病child medicine page No.20

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オスグッド・シュラッター病

この障害は、成長期(特に10代前半の男子)の脛骨粗面に起こる成長軟骨障害です。
膝蓋骨(膝のお皿の骨)より、やや下方の脛骨前面にある骨の出っ張りを脛骨粗面といいます。オスグッド・シュラッター病は、その脛骨粗面が炎症を起こし、やがて過剰に隆起して突出する骨端症(成長軟骨障害)です。
レントゲンの発明前は、脛骨の過剰骨(apophysis)の炎症として考えられていましたが、アメリカの整形外科医オスグッド(Osgood Robert Bayley)と、ドイツの医師シュラッター(Schlatter Carl)が、レントゲンを用いて、この症例の変化を記録し、脛骨粗面の剥離(はくり)と報告したのが、この病名の由来です。

原因

このオスグッド病がなぜ発症するのかは、解明されていません。外傷性、先天性、内分泌異常、感染性など諸説あります。これは発症のきっかけが、たまたま打撲などの外傷やスポーツなどの過剰な負荷などに多くみられるのですが、中には全くそのような外力の作用を受けたことが無いものや、片側の場合や両側同時発症の場合などの症例があるため、単純な外力によるものや機械的刺激によるものとは言い切れないからです。
脛骨粗面が成長軟骨から、成人の骨へと変化していく過程で、骨の新生と吸収が繰り返されながら形状が変化し、やがて完成された形になるわけですが、その新生と吸収のバランスを何らかの作用により崩された結果によるものと解釈できます。その何らかの作用が過剰な運動刺激、外傷、内分泌異常やその他の病的因子のいずれによっても起こり得るものかもしれません。


脛骨粗面の概要と成長期の構造

脛骨粗面(けいこつそめん)とは、脛骨の上部(脛骨近位端:けいこつきんいたん)で前方に突出した結節と呼ばれる骨が隆起した部分のことです。ここに膝蓋腱(しつがいけん:膝蓋靭帯ともいう)が付着するために、その表面がザラザラした粗い表面をしていることで粗面と呼ばれています。

左膝正面画像
左膝骨格略図

右大腿四頭筋と膝蓋腱略図
膝関節の側面から見た断面略図

成長期の骨は、成長軟骨と呼ばれる軟骨層が有り、その部分で骨の長径成長(長さの成長)が成されていますが、脛骨の様に長管骨(管状に長い骨)では、骨端(こったん)と呼ばれる両端部分に、その成長軟骨が形成され、それを骨端軟骨(こったんなんこつ)、若しくは骨端線(こったんせん)と呼んでいます。
脛骨近位端の成長軟骨は、骨端部分だけではなく、脛骨粗面部分にも存在します。この脛骨近位端の骨端軟骨の成長過程は、骨成長の中心核となる骨端核(一次性骨化核)の出現にはじまり、やがて脛骨粗面にも骨化核が出現します。
この脛骨粗面の骨化核出現過程は人により様々で、一般的には脛骨粗面に単独の骨化核(二次性骨化核)が出現しますが、時にこの骨化核が複数個出現するケースや、単独の骨化核ではなく骨端核の前端下部がくちばしのように伸びて、骨端核と一体的な脛骨粗面の骨化核を形成する場合があります。尚、脛骨粗面の単独の骨化核も、やがて骨端核と結合して一体化します。
さらに成長が進むと、後方部分から骨端線が閉鎖(成長過程が終了し、残った骨端軟骨が骨化して完全な骨に変わる状態)し、前方の脛骨粗面から骨端に至る部分の骨端線が閉鎖するのが最後になります。以下に一般的な脛骨上端部の成長過程を略図で示します。

脛骨近位端成長軟骨略図1
脛骨近位端成長軟骨略図2

脛骨近位端成長軟骨略図3
脛骨近位端成長軟骨略図4

脛骨近位端成長軟骨略図5
脛骨近位端成長軟骨略図6

症状と病態

脛骨粗面の腫脹、圧痛、骨性隆起、運動時痛が主な症状です。
オスグッド・シュラッター病は大腿四頭筋や膝蓋靱帯の過剰な牽引によるともいわれていますが、その割には膝関節屈曲による痛みの増悪は不明瞭です。また、かなり深く膝を曲げないと痛みを誘発できない症例がほとんどです。(膝関節を屈曲すると大腿四頭筋や膝蓋靭帯の張力が作用します。)
歩行障害は起こらず、運動や疲労により痛みが増悪しますが、安静にすると痛みが緩和されます。
画像検査では、脛骨粗面の変形像が観察されます。具体的には、成長軟骨内の骨核が不整な形状や分離した状態のものが見られ、正常と比較するとかなり複雑な形状に変化している様子が観察されます。また、分離した骨核が骨化し、脛骨粗面から遊離した小骨(遊離骨)を形成した場合は、慢性的疼痛が残存し予後不良となることもあります。

オスグッド・シュラッター病の圧痛点
オスグッド・シュラッター病の症例略図1

オスグッド・シュラッター病の症例略図2
オスグッド・シュラッター病の症例略図3

治療と予後

痛みがある場合は安静が基本です。また、低周波や超音波療法などによる物理療法で不整形成した成長軟骨を刺激することで症状が消退し、成長軟骨の形成過程が安定していく症例もあります。
スポーツをする子供の場合、休ませるのが困難なこともありますが、症状があまり重篤でなければテーピングや装具を利用して運動を行うことができる場合もあります。ただしその場合、運動後のアイシングや冷湿布、包帯固定などのケアも必要になります。
症状が重い場合は、包帯・副子固定などにより患部の安静を確保し2〜3週間様子を見ます。その後経過が良ければ専用のサポーターやストラップ型の装具に切り替えます。一方、経過が悪い場合は、整形外科で膝蓋靭帯内の遊離骨の除去などを行うことがあります。
脛骨粗面の成長軟骨が閉鎖して成人の骨格となれば症状は消失します。ただし、突出した骨の形状は、そのまま残存します。また、遊離した骨片が残ると成人以降にも症状が再発する場合があります。

オスグッド・シュラッター病の包帯固定
オスグッド・シュラッター病の包帯固定

オスグッド・シュラッター病のテーピング
オスグッド・シュラッター病のテーピング

オスグッド・シュラッター病のストラップ型装具
オスグッド・シュラッター病のストラップ型装具

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