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脛骨顆間隆起(けいこつかかんりゅうき)は、脛骨の近位端で内側と外側の関節面の間に位置し、2つの頂点がある骨隆起です。この隆起は、膝関節内にある十字靭帯の付着部となっています。従って膝関節の構成上、重要な部位であるといえます。
脛骨顆間隆起骨折は、膝関節の過伸展や急激な捻転により顆間隆起が十字靭帯に強く牽引されて起こる裂離骨折となります。特に成長期の顆間隆起は強度が弱いために起こりやすく7歳〜13歳に発生例が多くなっています。成人では顆間隆起骨折よりも十字靭帯損傷となることがほとんどです。
膝関節の捻挫や打撲の際に前十字靱帯が強く伸張されると、その付着部の前顆間区から顆間隆起に至る部分が、靱帯の強い牽引力に負けて引き剥がされるように骨折を生じます。
膝関節の捻挫や打撲後に急激に膝関節が腫れて強い痛みを訴え、膝関節を曲げた姿勢となり、膝を伸展することができなくなります。整形外科では、注射器による関節液の吸引とレントゲン検査を行います。転位が無いか、有っても軽微な場合は、X線写真では判断できない場合がありますが、膝関節内に骨折や靱帯損傷があると吸引した関節液に血液が混入します。疑いがあれば断層X線写真やCT検査が行われ、診断が確定されます。
骨折片の転位の程度により、病態が分類され、治療の指標とされます。代表的な分類法にMeyers- Mckeeverの分類があります。その分類法によると、転位が無いか有っても前方の剥離部分が僅かに浮き上がっている程度(TypeT)、
剥離した骨折片は明らかに転位をしているものの、骨折片の後方部は脛骨骨端との連絡している部分が残っているもの(TypeU)、骨折片が完全に剥離しているもの(TypeV)、骨折片が反転転位しているもの(TypeV+)となっています。
一般的にTypeUまでは、膝関節を整復肢位(軽度屈曲位〜伸展位の間)にすることで、転位が整復され、骨折片が整復位で安定するため、保存療法適応となっています。
TypeVやTypeV+では手術による整復・固定が必要になります。
治療は、整形外科にて整復と固定が行われます。骨折片(顆間隆起)が完全に剥離(はくり)して、骨折片の固定が不可能な場合は手術的に整復固定が行われますが、そうでない場合は保存的に徒手整復後、膝関節伸展位もしくは軽度屈曲位固定を施行します。(通常、膝伸展位では、前十字靱帯が緊張するので、20度ぐらいの軽度屈曲位が良いとされています。ただし、患者の関節の構造や顆間隆起の整復位保持ができる角度が伸展位の場合もあるようです。これについては整形外科医がレントゲンなどで確認しながら施行します。)
固定期間は、4週から5週が一般的です。予後は通常良好ですが、発見が遅れて陳旧化したものでは、伸展障害や関節の不安定性などの後遺症が残ります。
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