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上腕骨の遠位端骨折の内、内側上顆骨折(ないそくじょうかこっせつ)と通顆骨折(つうかこっせつ)は、成長期では骨端線離開(こったんせんりかい)という損傷形態になります。
成長期の上腕骨遠位端は、初めは軟骨で構成されていますが、成長とともに上腕骨小頭、内側上顆、上腕骨滑車の順に骨端核(こったんかく)が出現し、その骨端核を中心に骨を形成していきます。その骨端核と骨本体との間は、成長が完了するまで骨端線と呼ばれる骨端軟骨が介在します。その骨端軟骨部分の強度が周囲よりも弱いため、外力を受けるとその部分が損傷しやすいのです。この骨端線部分の損傷を骨端線離開といいます。即ち骨端線離開とは骨端軟骨に生じた骨折です。
このページでは、成長期の上腕骨遠位端の骨端線離開として、内側上顆骨端線離開(内側上顆骨折)と通顆骨端線離開(通顆骨折)を取り上げて掲載します。
※ 上画像の時期では、上腕骨滑車の骨端核はまだ出現していません。上腕骨遠位端の骨端核の出現時期は、上腕骨小頭で6ヶ月から1歳頃、内側上顆が4歳〜5歳頃、外側上顆が8歳〜12歳頃、上腕骨滑車が11歳〜12歳頃といわれています。
上腕骨の内側上顆(肘の内くるぶし)に限局性圧痛と軋轢音(骨が擦れる音)、腫脹、皮下出血がみられます。また、関節包靱帯(かんせつほうじんたい:関節全体を覆う靱帯)の損傷を伴うと、皮下出血がかなり顕著に現れ、肘を他動的に外反すると異常な外反方向への動きが見られることもあります。
転位のある場合、内側上顆の異常可動性もしくは異常位置に内側上顆骨折片を触知し、健側と比較して肘の内側が扁平に見えます。
遊離した骨片が関節内に嵌入したり、関節内血腫が甚大な場合は、肘の屈伸運動は著しく制限され、激しい疼痛を訴えます。
整形外科のレントゲン検査により診断は容易です。疑いがある場合は必ず整形外科の診察を受けてください。
転位が無いものや転位軽度のものでは徒手整復し、肘関節90度屈曲位で包帯副子固定を行います。固定期間は4週程度が目安です。
遊離した骨片が5mm以上離開した転位が大きなもの、あるいは回転転位したものでは、整形外科の手術的な整復・固定処置となります。また、転位が比較的軽度でも肘関節の動揺性や、肘関節の外反方向への異常可動性がある場合も手術的な整復・固定を要します。
適切な処置を受傷後速やかに受ければ予後は良好です。一方、顕著な転位があるもので、整復されずにしばらく放置された陳旧性のものでは、手術をしても肘の運動機能に障害が残ります。特に内側側副靱帯の損傷を伴う場合は、肘が不安定となりスポーツや重労働ができなくなります。
上腕骨通顆骨端線離開は、上腕骨の遠位骨端線で起こるもので上腕骨遠位骨端線離開とも言われます。また、外顆から内顆を貫通するため、上腕骨通顆貫通骨折、上腕骨通顆骨折などとも呼ばれています。
発症年齢は、まだ骨端核の出現が少ない6歳以前の幼児に多く、転倒したとき肘を曲げた状態で肘の後方を突いて受傷する場合(屈曲型損傷:図7参照)と、手を突いて肘を過伸展したときに受傷する場合(伸展型損傷:図9参照)とがあります。これは、上腕骨顆上骨折の発生機転や離断骨片の転位の向きが類似します。
上腕骨の外顆と内顆に限局性の圧痛を触知し、上腕骨遠位端部を中心に腫脹や皮下出血も起こります。転位のある場合は、顆上骨折と類似した変形となり、肘が脱臼したようにも見えます。
転位が無いか、有っても僅かな場合は、レントゲンでは明確な画像を得られないこともあります。しかし、転位が有れば典型的な画像を示します。例えば肘関節屈曲位で肘の後方を突いて受傷した場合、転位があるものでは離開を生じた末梢片が前方へ屈曲するように変形・転位します。従って、レントゲンの側面画像で見ると上腕骨小頭が上腕骨前縁よりも前方に位置して見えます(図7と8)。一方、肘関節伸展位で手を突いて受傷した場合、転位のあるものでは離断を生じた末梢骨片が後方へ転位し、中枢骨片が前方へ突出し、対して末梢骨片の後方転位によりレントゲンの側面画像で見ると、上腕骨小頭の骨端核が上腕骨後縁よりも後方に位置しているのが確認できます。
また、伸展型の場合、側面画像で尺骨鉤状突起が上腕骨前縁よりも後方に位置することが重要な目安となります(図9と10)。尚、骨折線がやや外側上方より斜走するタイプの場合、レントゲン画像上では外顆骨折と間違われやすくなります(図2と3の比較)。ただし、外顆骨折では外顆側のみ限局性圧痛がありますが、通顆骨端線離開では外顆と内顆の両方に限局性圧痛があるので触診が鑑別診断のポイントになることがあります。
離断骨片の転位が無ければ、包帯副子固定を3週程度行います。転位がある場合は徒手的に整復し、包帯副子固定を4週程度行います。尚、初回の整復処置で充分な転位除去ができない場合や整復しても再転位を生じるものでは、整形外科にて入院による持続牽引や手術による整復処置を行うこともあります。充分な整復効果が得られて骨癒合も良好であれば予後は良好です。一方、転位の除去が不十分な状態で骨癒合した場合は、肘関節の屈伸障害や内反肘(ないはんちゅう:肘が内側に反る変形)を起こします。内反肘の度合いは、成長と共に進行するので、肘関節の運動障害や変形がひどい場合は、時期を見て手術的な矯正を行う必要があります。
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