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大腿骨頚部疲労骨折sports medicine page No.3

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大腿骨頚部疲労骨折の概要
〜股関節に痛みの出るスポーツ障害

スポーツ障害として起こる大腿骨頚部疲労骨折は、マラソン、サッカー、バスケットボール、野球、体操などで見られます。また、発生頻度は男性よりも女性に多い傾向があります。
この大腿骨頚部疲労骨折には圧迫型(compression type)と、完全型(transvers type)があります。
圧迫型は若年者に多くみられ、不全骨折の場合がほとんどで、骨折片の転位の可能性はほとんどありません。また、完全型は高齢者に多く、大腿骨頚部を横断する完全骨折を生じ、骨折片の転位の可能性がかなり高くなります。いずれにしても、大腿骨頚部に引っ張りや圧迫、あるいは剪力が繰り返し働いて疲労骨折に至るものです。

大腿骨骨幹部の長軸(解剖学的軸)に対して大腿骨頚部の長軸は、成人で約126度の角度(頚体角という)を成しており、大腿骨頚部はその構造から非常に物理的負荷の掛かりやすい部分にあります。
この頚体角(けいたいかく)は、幼児の頃は140度以上ありますが成人の骨格として完成されると125〜128度程度に狭まり、さらに高齢になると120度前後にまで変化します。従って高齢になるほど物理的に負担が大きくなる形態になります。また、大腿骨頭の中心から大腿骨下端の中心を結ぶ機能的な軸(mechanical axis)は、大腿骨幹部の長軸(解剖学的軸:anatomical axis)よりも前内方へずれており一致していません。このために大腿骨頚部の上部には引き離すような牽引力が作用し、大腿骨頚部の下部には押し潰すような圧迫力が働きます。当然頚体角の大きい場合は軸圧の反復による圧迫力の影響を受けやすいのですが、頚体角が小さくなるに連れて大腿骨頚部を折り曲げるような屈曲力の作用も大きくなるために、大腿骨頚部の上方を引き離す過剰な牽引力が働きます。従って、高齢になるほど圧迫力に加えて牽引力も強く働くようになり、大腿骨頚部を横断する完全型になる確率が高くなります。

大腿骨の頚体角
大腿骨の機能軸を示す略図

症状

発症初期は股関節の運動時痛、もしくは運動後の痛みを訴える程度で、安静時は痛みが消えます。しかし、徐々に運動時の痛みが強くなり、安静時でも痛みが持続するようになります。また、大腿部や膝関節上部に疼痛を訴える場合もあります。これは腱や骨の感覚神経(スクレロトーム:腱や骨の神経根性支配領域)の影響により生ずるもので、患部から離れた位置に痛みが放散する現象(放散痛もしくは関連痛という)です。
その他に、鼠径部の圧痛、階段や坂道を下るときの股関節や大腿部の痛み、疼痛による跛行なども見られます。
徒手検査では、他動的に股関節を内旋することで疼痛を誘発し、内旋運動に制限を見ることもあります。また、患肢でジャンプすると股関節痛を誘発するhop testなども診断に有用な症状です。

病態

 圧迫型疲労骨折 compression type
この圧迫型の疲労骨折では、ランニングやジャンプの反復練習により周囲を取り巻く筋肉が疲労を起こし、正常な支持力を失ったり、筋肉の支持バランスが乱れて下肢アライメントの微妙なズレを生じた状態でさらに負荷を掛け続けることで、大腿骨頚部の下部に繰り返される圧迫力が働き損傷します。
X線で明瞭な骨折像が得られる場合は、大腿骨頚部下方に圧挫されて損壊した骨折線が描出されます。また、その骨折線部分に圧迫によって骨折片が節状に隆起した画像が得られることもあります。
骨片転位は起こらず、骨折面積も狭いので運動を中止すれば日常動作の多くは可能な状態です。

 完全型疲労骨折 transverse type
完全型の疲労骨折は、圧迫型よりもさらに過激な運動や練習で大腿骨頚部に強い屈曲力が働いた場合に起こり、また外力の程度がそれほど過激でなくても、上述の通り頚体角の加齢による変化や、骨粗鬆症、ステロイド使用による骨の脆弱化など骨の耐久性低下を生じている場合には発生頻度が高くなります。整形外科学会の報告では、高齢者の膝関節置換術など変形性膝関節症の手術を受けた患者で、頚体角が変化したことによる当該骨折の発症例もあります。
完全型疲労骨折は、大腿骨頚部に強い屈曲力が作用するため、上記圧迫型の発生幾転に加えて大腿骨頚部の上方に牽引力が働き、大腿骨頭を下方に折り曲げるような外力となります。
完全型疲労骨折では、大腿骨頚部の上方に骨折片が離開した画像が得られ、骨折線は大腿骨頚部を横断している場合も多く見られます。重度の場合は骨片転位を生じます。また、血行の遮断により大腿骨頭の壊死、あるいは偽関節、内反変形などの障害に至るものも多くなります。
尚、このタイプの骨折の内、転位の無い骨折をtension type、転位のある骨折をdisplaced typeと分類し、圧迫型疲労骨折のcompression typeを含めて3型に分類する場合もあります。

大腿骨頚部圧迫型疲労骨折
大腿骨頚部完全型疲労骨折

診断

診断は整形外科の診察により行われます。
鑑別すべき疾患には股関節の関節炎や股関節周囲の滑液包炎、骨腫瘍、また女性では関節形成不全による痛みなどが上げられます。
圧迫型疲労骨折のX線検査では、大腿骨頚部の下部に骨硬化像が見られ、骨折の程度や仮骨形成状態によっては竹節のように盛り上がった骨折端を観察することもあります。しかし、圧迫型の疲労骨折では初回診察時のX線検査に異常を認めないことも多く、単純な画像検査では判断が難しいときもあります。従って、そのような場合は痛みが運動により増強して、安静により軽快するといった運動器特有の症状であることの確認、腫瘍などに見られる就寝時の夜間痛が無いこと、関節炎などに見られる腫脹や熱感、発赤などが無いこと、先天性股関節脱臼や中殿筋麻痺などに見られるトレンデレンブルグ徴候が無いことなどが判断材料となります。
その他に血液検査で、感染、悪性腫瘍などの反応が見られないことなどの判定も必要になることがあります。
また、レントゲン画像で明確な反応が見られない場合で、疲労骨折を疑う場合はMRIや骨シンチグラフィー検査による判定を行うことで診断が確定することもあります。
完全型疲労骨折のX線検査では、大腿骨頚部の上部に引きちぎられたような骨折端が描出され、顕著な例では大腿骨頚部を横断する骨折線を観察します。さらに重症では屈曲転位や、遠位骨片が上方に、近位骨片(骨頭側)が下方へ剪断したような転位を生じます。

治療と予後

治療や経過観察は整形外科の管理下で行われます。圧迫型・完全型により以下のような治療が施行されます。

 圧迫型疲労骨折の治療と予後
強い痛みや日常生活に大きな支障をきたすものでは、ベッドでの安静臥位や松葉杖による免荷歩行で経過を見ます。
しかし、比較的症状が軽度の場合は運動制限のみで大丈夫です。また、骨癒合を促進するために低周波や超音波による物理療法を施行する場合もあります。一般的に3〜4ヶ月のスポーツや労働の中断で予後は良好であることが多いと考えます。

 完全型疲労骨折の治療と予後
完全型骨折では、一般的に骨片転位の有無にかかわらずKワイヤーやスクリューによる内固定が施行されます。
骨片転位の無いものでは、比較的予後は良好ですが、骨片転位を生じたものでは、股関節の内反変形や、偽関節、骨頭壊死などに至り、人工骨頭置換術を要することもあります。


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